アピモンディア2019で見たもの聞いたもの  その3

Miels d'Anicetは寒さに強い系統の女王蜂生産をメインにしています.翌朝ひろいソバ畑に置いてある蜂群を見学,霧雨に風が吹くかなりの肌寒さでしたが,咲き残りの花や大型給餌器(ドラム缶)に蜂が来ていました.かなり体色が黒めな系統です.ほかに無農薬有機栽培の農家と契約してポリネーション用に蜂を置いているそうです.

じつは温暖なカリフォルニアの,ワイン生産で有名なナパバレーでも春早く出荷できるように女王蜂を養成しており,さらに今後の気候変動に対処できるような系統も,研究機関と協力して開発中とのこと.すごいですね.

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アピモンディア2019で見たもの聞いたもの  その2

閉会式翌日から1泊2日の見学旅行に参加しました.目的地はモントリオールの北方向にバスで4時間ほど行った Ferme-Neuve, Quebec にある Miels d'Anicet 養蜂場です. https://mielsdanicet.com/fr-ca/  

ミツバチ研究で修士か博士を出た高い理想を掲げる若き養蜂家Anicet & Anne-Virginie Desrochers夫妻が,農薬散布のない遠隔地に10数年かけて発展させてきた先進的な養蜂場.緯度はケベックシティーと同じくらい,9月半ばですでにコートがほしい気温でしたが,Miels d'Anicet のミツバチはまだ飛んでいました.

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アピモンディア2019で見たもの聞いたもの その1

アピモンディア2019 第46回国際養蜂会議は9月8-12日に,カナダ東部,ケベック州モントリオールで開催されました.134カ国から合計5,500名ほどが参加し,口頭発表は320題,ポスターも360題以上.ポスター会場がシンポジウム会場に隣接し,発表者と見学者の意見交換が盛んに行われていました.

写真はアピエクスポ会場で2年後,ウファ(バシコルトスタン共和国)での会議を宣伝するロシアのスタンド.公式ウェブサイトでは,盛会だった会議の様子が大量の写真と動画で公開されています.https://www.apimondia2019.com/gallery/

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都会のミツバチが集める花粉 その2

こちらの写真は,東京都内の住宅地におかれた巣箱に花粉収集器をとりつけ,午前中数時間のうちにミツバチが持ち帰った花粉団子を集めたものです.前の写真とは違って,こちらではセイヨウミツバチは近隣の環境に咲く多様な植物の花を尋ねて,様々な色の花粉を集めています.

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都会のミツバチが集める花粉 その1

市街地におかれた蜂群が,周囲の環境から集めてくる花粉は,季節ごとに大きく変化することがわかりました.セイヨウミツバチ群では健康な蜂児を育て,コロニーを維持し続けていくために,タンパク質を豊かに含む多様な花粉が必要です.年間のある時期に開花が減り,花粉不足や貧栄養な花粉しか採れないと,その間は蜂児の生育に必要な栄養が賄えません.写真の花粉団子は同じ色が多く,花粉源があまり多彩でないのか,この花がよほど大量に開花中なのか,どうでしょう.

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養蜂作業の友 燻煙器 その3

燻煙器からは低温の白い煙が出てほしい.強い熱風が吹き出されたら,ミツバチの翅,体毛/剛毛,それに触角が焼けてしまう.

米国農務省・農業研究サービスで1997年にバロアダニに対する燻煙の効果をしらべた興味深い試験が行われている.40種の植物のバロアダニに対する防除効果を試験したもので,もっとも期待できそうな植物は乾燥させたグレープフルーツの葉とクレオソートブッシュ(多年生木質植物)だった.

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養蜂作業の友 燻煙器 その2

燻煙器の点火方法:燻煙材料の基本は天然素材で,油脂,殺虫剤,保存料などが着いていないものをえらぶ.燃焼缶の底部で点火する.良く燃え始めたら燃料を少し追加し,ふいごを吹いて燃え上がらせる一方,燃料をさらに追加する.底部から1/3ほどまで燃料が入り,ふいごの風で調子よく燃え続けているようなら,燃焼缶が一杯になるまで,燃料をげんこつでぎゅっと押し込み,さらにふいごを吹く.燻煙器のノズルから冷たい,白い煙が大量に出てくるまで,風を送り続けよう.

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養蜂作業の友 燻煙器 その1

養蜂家の作業効率には,どんな大きさの燻煙器を使い,それにどんな素材を詰めて燻煙剤として使っているかということが,大きく関わってくる.大型の方が点火しやすく,長時間消えずにいる.やけどを防止するガードがある方が使いやすい.燃焼させる素材しだいで,火が具合良く燃え続けるかどうか変わってくるだろう.

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ミツバチと父の日

 父の日(6月第3日曜日)を祝い,Facebook のEthnobeeology にアップされた「太った,お気楽な紳士達」と題された図です.

 お父さん蜂が息子たちにやさしく語りかけているのでしょうか?ミツバチの絵本などで見かけたことがほとんどないテーマですね.

 実際には,ミツバチの社会に父親と子の団らんは存在しないからです.

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見学旅行でハッタの養蜂基地へ その2

朝8時に集合場所に行くと,やや古めのマイクロバスにすでに乗客がすし詰め.私は補助席に座らせてもらい,出発しました.片道5車線のフリーウェイをドバイまで.そこから右折して砂丘が目立つ高速道をさらにひた走ると,やがて茶色い岩山が見え始めました.もう一度右折して,ついに山岳地帯に入ります.山はわずかに緑色を帯びているけれど,植物はごくわずか.山肌にスイカからメロンくらいの大きさの穴がときどき見えます.正午過ぎに養蜂基地に到着.容赦ない真夏の暑さ.

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見学旅行でハッタの養蜂基地へ その1

アラブ首長国連邦アブダビで開かれる,アピアラブ・エクスポに参加しようと決めた理由の一つが,大会HPの日程表に表れた4月4日の見学旅行でした.”8:00- 16:00 Trip to Bees Garden – Hatta, Dubai”.UAEのドバイといえば,アブダビ以上に砂漠と超高層ビルのイメージですが,ミツバチはどこにいるのでしょう.

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アブダビで アピ・アラブ・エクスポ その2

4月1-2日に,最新農業技術フォーラム(GFIA)がアブダビ国立展示センター(ADNEC)において,アラブ首長国連邦【UAE】副首相・大統領府大臣・アブダビ農業・食糧保証庁長官“シャイフ【シェイク】”・マンスール・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン殿下の後援により,開催されました.

ミツバチはUAEがこのように大規模な展示会を企画し,農業新技術の導入により国内生産を増やそうとめざしている農産物の花粉交配をにないます.また昔からイスラムの人々に欠かせない甘味の元,ハチミツを生産するのもミツバチです.

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アブダビで アピ・アラブ・エクスポ その1

4月になり,あたらしい元号が発表されたとき,私は日本の様子が伝わりにくいところにいました.3月31日の夜に成田を発ち,アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに向かったのです.偏西風に逆らって西に向かうフライト.飛行時間は通常よりのびて,12時間以上.延々と夜を飛んで来たのに,到着したらまだ夜中の午前2時前でした.

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施設園芸の花粉交配 その3 イチゴハウスで

 ハウスの中におかれた巣箱からミツバチたちがイチゴの花を訪れにでかけます.ミツバチは自分が食べるだけでなく,巣でまつ幼虫や他の仲間を育てるために,大量の花蜜や花粉を集め,貯蔵する性質があり,多くの花を訪れます.

 しかし閉鎖された施設の中,農作物の近くで働くことは,この勤勉な小さな生き物に多くの困難をもたらします.

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施設園芸の花粉交配 イチゴ その2

 2015年イチゴ生産高は全国で158,700トン.都道府県別では栃木県24,800トン,福岡県16,000トン,熊本県10,900トンがトップ3です.

 最近,イチゴは冬の果物として扱われ,本来の季節(5~6月)が忘れられがちですが,11月から出荷されるようになったのは,ミツバチが温室内で花粉交配を助ける現在の生産技術が開発された成果です.

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施設園芸の花粉交配 イチゴ その1

 昆虫が訪花し,花粉を運ぶことにより受粉が行われ,植物に実がなります.世界の食糧生産の9割をしめる作物100種のうち,70種がハナバチ類や他の昆虫の送粉サービスに助けられており,全世界で昆虫による花粉交配が寄与する経済価値は1500億ユーロに上ると推計されています.ミツバチは農業に関わる昆虫の代表.勤勉な送粉者として世界の食料安全保障(food security)に大きく貢献しているわけですね.

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